私は、左利きです。食事のときは隣の人と肘がぶつからないように端に行くし、習字の時間はとめやはねがうまく書けませんでした。電車の改札は右手できっぷを通すようになり、はさみは最初に右利き用のものを使ったため右手でしか扱えません(左手ではうまく切れない)。
日本に左利きの人は、全体の1割程度だそうです。社会は右利き用にできているのです。なかなか左利きには不便な社会ですが、右利きの人のように生活できるように頭を使って生きているように感じます。
そんな社会で不便さを感じている左利きの人に対して、
- 君たちは10人に1人の選ばれし存在なのだ!
- 右利きの人に比べて脳の使い方がバランスがとれている!
- 左利きの個性(脳のうまい使い方)を伸ばして人生を豊かにしていってほしい!
とメッセージが書かれているのが以下の書籍です。
参考文献 加藤俊徳、1万人の脳を見た名医が教えるすごい左利き「選ばれた才能」を120%活かす方法
筆者も左利きで、幼いころからよく頭を使って生活していたようです。そして医師となり左利き・右利きと脳の仕組みの関係を研究していったようです。
脳の仕組みと利き手について、説明していきます。
脳の仕組み
左利きの脳は右利きに比べて左右差が少なくバランスがとれていると言われています。
脳番地という考え方
まず、基本的な脳の仕組みを「脳番地」という考え方で説明されています。機能別に8つの系統に整理されています。
・思考系脳番地=何かを考えたり判断することに関わる ・感情系脳番地=感性や社会性、喜怒哀楽を感じ、感情を生み出すことに関わる。脳の複数の部位に位置し運動系の背後に接している感覚系脳番地は皮膚感覚を通じて感情が活性化する ・伝達系脳番地=話したり伝えるコミュニケーションをとることに関わる ・運動系脳番地=手足や口など、体を動かすこと全般に関わる。手、足、口、目の動きを司る脳番地は運動系の中で別々に分かれている。手足は、脳の対側が支配しているのに対して、口や顔の動きは、片側の脳から両側の動きを司る両側支配になっている。 ・聴覚系脳番地=耳で聴いた言葉や、音の聴覚情報を脳に取り入れることに関わる ・視覚系脳番地=目で見た映像、読んだ文章など視覚情報を脳に取り入れることに関わる ・理解系脳番地=目や耳から入ってきたさまざまな情報や言葉、物事を理解、解釈することに関わる ・記憶系脳番地=覚えたり思い出すことに関わる
一つの動きに一つの脳番地が働くわけではなく、「人と会話する」だけでも複数の脳番地が連携して働きます。
右脳と左脳の役割分担
8つの脳番地は、左右の脳にほぼ均等にまたがっていますが、わたしたちの脳は左脳と右脳で役割分担をしています。
例 | 左脳の主な役割 | 右脳の主な役割 |
感情系脳番地 | 自分の感情や意思を作り出す | 自分以外の人の感情を読み取る |
視覚系脳番地 | 文字や文章の読み取り | 絵や写真、映像などを処理 |
左脳は主に言語情報の処理を担当、右脳は非言語である画像や空間の認識を担当しているということが明らかになっています。
こうして左脳と右脳で異なる働きを担っていますが、左右対称に同じ働きをする脳番地があります。
それが「運動系脳番地」であり、右利きの人は左脳の運動系脳番地が、左利きの人は右脳の運動系脳番地が発達してます。左脳からでた命令は右半身の筋肉を動かし、右脳からでた命令は左半身の筋肉を動かしコントロールしています。左手をよく使うと右脳が活性化し、右手をよくつかうと左脳が発達するということです。
右脳と左脳の得意分野
左利き、右利きを問わず、7割以上の人が左脳で言語処理を行っています。
右利きは右手で文字を書くとき、右手を左脳で動かしながら、左脳で言葉を生み出す。
→左脳の中でネットワークを使う
左利きは左手で文字を書くとき、左手を右脳で動かしながら、左脳で言語処理をする。
→左脳と右脳の両方のネットワークを同時に使わないと、文章を作れない
つまり、左利きは、両方の脳を使うため、「言葉を使って考えをまとめるのに時間がかかる」傾向があるといわれています。
逆にいうと、左利きは、両方の脳をまんべんなく使い、育てているといえます。この左利き独特の脳の使い方が個性を生み出します。
左脳ー言葉や計算、そして論理的、分析的な思考をする「直列思考」 右脳ーさまざまな情報が同じようにプカプカ浮かんでいる「並列思考」
その個性を書籍では「直感」「独創性」「ワンクッション思考」と紹介されています。
直感がすぐれている
「直感」とは意識では覚えていない膨大な情報を蓄えている脳のデータベースから、精度が高く、より正確な情報を選択して導き出された結果
あるできごとに対して深く考え込むより、自分の直感を信じて行動したほうが良い結果がでることがあります。
記憶を詳細に意識的に検証する時間より、脳がその瞬間感じた印象のほうが、物事の核心に行きやすいという考察もあります。
左利きの直感がすぐれている理由
左利きは、常に左手から右脳に刺激を送っています。右脳はモノの形や色、音などの違いを認識し、言語以外のあらゆる情報を無意識のうちに蓄積している巨大なデータベースとなっています。
データサイズ・・・テキスト情報<画像や動画など
つまり、左利きは、右脳のデータ量が多く、そのデータから導き出される直感もすぐれているといえるのです。
科学の世界で「仮説→検証」という一見、とてもロジカルに見える過程でさえ、直感抜きでは成り立たない。(仮説をたてる際、研究者の経験則や考察などから導き出される直感が大切)
直感をのばしていくために
人間の直感=AIを超えた超高度な脳を使った人間だけの技術
直感の精度をあげるために、右脳のデータ量を増やしていくこと(言語以外の情報を意識して増やすこと)が大切です。紹介されているのは
- 「きれいなもの」「かわいいもの」を見たり集めてみる
- アニメキャラを思い出す
- 歩きながら、色のついたものを見つけてみる
などです。
直感を活かす3ステップ
①直感があることを信じる
直感をうまく使ってよりよい人生を歩むために、まず「直感は誰にでもある」と信じることです。そして、なにか思いついたなら「いまのひらめきは何?」と自分に問いかけてみましょう。脳に質問を投げかけると、脳がその質問をしっかり受け止め解答しやすくなります。
直感を信じ、思いついたことに対して自分に問いかける。 →直感を言語や映像としてとどめることができる
②浮かんだことをメモする
いつもメモを持ち歩き直感を言語化できるようにしましょう。直感を得られやすいキータイム(時間)、キースペース(空間)、キーパーソン(人間)があります。その瞬間のひらめきを保存できるようにしましょう。浮かんだイメージを単語でもいいので残すことで発展していく場合があります。
わたしは、サウナにはいっているとき、よくひらめきがあるので、風呂に持って入れる紙とペンがほしいです。
左利きは、デフォルトで情報の保存方法が「イメージ保存」 あえて言語化することで直感をカタチとして残す(右脳から左脳へ移す)
③実際に検証する
直感を言葉にして残したら、そのとおりできるかやってみましょう。「自分のあこがれの人だったらどうするか」と仮定して行動することで、視野が大きく広がります。検証を続けていくことで、直感の精度がすこしずつ上がっていきます。
まとめ
- 左利きは、10人に1人の選ばれし存在なのだから、日常で不便はあっても力強く生きていってほしい
- 左利きは、右利きに比べて脳の使い方がちがうので、その個性を伸ばしていってほしい
- 左利きの個性として「直感」「独創性」「ワンクッション思考」がある。※「独創性」と「ワンクッション思考」については、ぜひ書籍を読んでみてください。
- 直感を伸ばしていくために「直感を信じ自分に問いかける」「ひらめきを言語化」「実際にやってみる」ことをしよう
左利きだということにうしろめたさを持たず、右脳も左脳も鍛えていきすばらしい人生を送りましょう。
コメント