「プロジェクト・ヘイル・メアリー」は、SF作家アンディー・ウィアーのSF小説です。上下巻に分かれており、
- 大ボリュームのSFの世界を味わいたい
- 宇宙を舞台にしたバディ作品を読みたい
という人に読んでほしいです。※以下ネタバレ含みます。
あらすじ
太陽が暗くなっている?なぞの物質「アストロファージ」によって太陽のエネルギーは奪われ、地球へ届く太陽光は、すこしずつ減少していることがわかった。このままでは、地球は氷河期をむかえ、人類は滅亡してしまう。その危機から人類を救うために計画されたのが「プロジェクト・ヘイル・メアリー」。
地球から遠く離れた星「タウ・セチ」。この星だけは「アストロファージ」とうまく共存できていることがわかった。「プロジェクト・ヘイル・メアリー」は、この遠く離れた星に科学者を送り込み、解決策を見つけ、地球を救うこと。人類を救うためにその一員に選ばれた「グレース博士」が奮闘する物語。
物語の構成
物語は、宇宙船でグレースが目覚めるところから始まります。長い昏睡状態から目覚めたグレースは記憶障害があり、徐々に記憶を取り戻していきます。そのため、
- 「タウ・セチ」で地球を救う解決策を見つけるために宇宙空間で奮闘する現在パート
- 宇宙へ出発する前、地球でのできごとを思い出していく過去パート
に分かれています。
「プロジェクト・ヘイル・メアリー」人類を滅亡から救う空前絶後の計画
宇宙船で目覚めたグレースは、自分の名前も思い出せないほどでしたが少しずつ重要なことから思い出していきます。
- 太陽を弱らせる物質「アストロファージ」
- 唯一「アストロファージ」の影響を受けていない星である「タウ・セチ」
- 自分の使命は、「タウ・セチ」へ行き、人類を救う解決策を見つけること
地球から「タウ・セチ」まではかなりの距離があり、到着まで数年かかります。宇宙船の燃料や地球の状態を考慮して
- 燃料、食料は片道分(特攻ミッション)
- 「タウ・セチ」到着までは昏睡状態で向かう(食料の積載量削減のため)
- 解決策を見つけたら、そのデータを無人機(小型の宇宙船)で地球へ送る
という人類のために命をかける計画となりました。もともと宇宙船のクルーは3人いましたが、グレース以外の2人は長い昏睡状態に耐えられず死亡しており、たった一人で「プロジェクト・ヘイル・メアリー」にのぞむことになってしまいます。
地球外生命体との出会い
たったひとりになってしまったグレース。記憶を取り戻しながら冷静に状況を把握していると、小さい光点は発見します。それはなんと地球外生命体の宇宙船でした!宇宙船にはたった一人クルーが乗っていました。
宇宙船に乗っていた地球外生命体は、人間と同じような知的生命体であり、コミュニケーションをとることができました。コミュニケーションを深めていくなかで
- 地球外生命体の宇宙船には多くのクルーがいたが、みんな病気で死んでしまって今はたった1人であること
- 地球外生命体の母星も「アストロファージ」の問題を抱えており、解決策を探していること
がわかります。つまりグレースは同じ使命をもった同士とめぐりあったのです。
スーパーエンジニア「ロッキー」
グレースは、唯一の同士である地球外知的生命体を「ロッキー」と呼ぶことにします。ロッキーは、宇宙船の修理や整備を担当しており、実験器具などもかんたんに作ることができるスーパーエンジニアでした。科学者であるグレースとエンジニアであるロッキー。このコンビが協力して「アストロファージ」問題に立ち向かっていきます。
環境のちがい
ロッキーの星の文化は、地球とは全然ちがいます。重力は地球の2倍、気温は高温、空気のほとんどはアンモニアであるため、同じ環境で2人は共存できません。ロッキーは、グレースの宇宙船の中に自分が住めるエリアを作ります。そして、2人を乗せた宇宙船は、「タウ・セチ」へ。
地球に帰れるかも!?
「プロジェクト・ヘイル・メアリー」は、片道分の燃料しか乗せていない特攻ミッションです。それをロッキーに話すと帰り道の分の燃料をわけてあげられると提案を受けます。生きて地球に帰れるかもしれないとわかったグレース。涙を流し、喜びの感情をあらわにします。より一層プロジェクトに気合がはいるのでした。
ついに発見、「アストロファージ」を捕食する存在「タウメーバ」
「タウ・セチ」へ到着したグレースとロッキー。「タウ・セチ」の環境を調べてみると「アストロファージ」以外にも生命体の存在を発見します。そして、その中の一つの生命体が「アストロファージ」を捕食。ついに解決策を見つけ出したのです。
グレースはこの生命体をタウのアメーバ、「タウメーバ」と名付け、繁殖させていきます。
- 「タウメーバ」は窒素に弱く、グレースとロッキーの星の環境で生きられない
- それぞれの星で生きてられるように窒素耐性をもった「タウメーバ」に進化させる
- 進化した「タウメーバ」を持ち帰り、「アストロファージ」を捕食してもらう
それぞれの星へ
それぞれの星で生きられる「タウメーバ」を繁殖させた2人は、それぞれの星へ帰っていきます。たった2人で人類を救うミッションに挑んだグレースとロッキー。かけがえのない絆で結ばれた2人は、別れを惜しみながらそれぞれ帰っていきます。
「タウメーバ」の暴走
グレースはロッキーと別れてから、また孤独に地球を目指していました。進化した「タウメーバ」とともに。繁殖させた「タウメーバ」は、グレースが思いもよらぬ進化をとげていたのです。
- 「タウメーバ」を保存していた、ある素材の容器から逃げ出すことができるように進化をとげていた
- グレースの宇宙船には、ある素材とは別の容器があるが、ロッキーの船にはない
グレースは選択を迫られます。
- このまま地球へ帰り、地球の人類を救い英雄になる(ロッキーの星が助かるかはわからない)
- ロッキーの船に助けにむかう、地球へは「タウメーバ」を乗せた無人の宇宙船をむかわせる(グレースは食料がなくなって死ぬが、地球の人類、ロッキーの星の人類が助かる)
グレースが選んだのは…
まとめ
プロジェクト・ヘイル・メアリーは成功!地球の人類もロッキーの人類も救われました。グレースがどちらを選んだのか、「タウ・セチ」で2人はどんなことをやったのか、ぜひ書籍を手にとってみてください。
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